STORY和紙布ができるまで
1マニラ麻(アバカ)
ORIGAMIXのシューズ向け和紙布に使用されている和紙糸の原料は、世界基準のオーガニック認証を取得したエクアドルの農園で栽培されているマニラ麻100%。マニラ麻はバナナと同じバショウ科に属する多年草で、苗を植えて3年という短いサイクルで5~6mに成育する、とても環境負荷の低い植物です。
2マニラ麻の繊維
成育したマニラ麻の茎を根元から伐採し、葉を取り除いた葉鞘(ようしょう)の部分を割いて、繊維を取り出します。マニラ麻の繊維はとても強靭で、熱や湿気に強いことでも知られ、エレベーターやケーブルカーなどのワイヤーロープの芯材や、船舶繋留用のロープ、日本の紙幣の原料としても使用されています。
3マニラ麻の繊維(拡大写真)
マニラ麻の繊維のもう一つの大きな特徴は、天然の多孔質であること。繊維の1本1本に空いている無数の穴が、通気性や吸水速乾性、消臭性能など、多彩な機能性を発揮してくれるのです。
4機械漉き和紙
マニラ麻の長く強靭な繊維を原料に、伝統的な和紙の製法を活かした機械漉きの技術を用いて、薄さと強さを兼ね備えた紙を漉きます。均一な糸をつくるには、織物を織るための充分な長さをもった、均一な紙を漉くことが求められます。
機械漉きの和紙は、障子紙や書道紙、断熱材などにも活用されています。
5和紙スリットテープ
漉き上がった紙を、数ミリ単位でテープ状に裁断し、正確かつ丁寧に巻き取ります。この工程にも、日本独自の最先端かつ精緻な技術が活かされています。
6和紙糸
裁断されたテープに、紙縒り(こより)を作る要領で撚り(より)をかけ、糸にします。テープの状態では強い力が加わると切れてしまうため、均一で丈夫な糸をつくるためには、熟練された技術と繊細な作業が必要となります。
7和紙布
和紙糸を経糸(たていと)・緯糸(よこいと)に使って織物にします。和紙糸は綿やポリエステルなどの他の繊維と異なり、ほとんど伸び縮みしないため、他の繊維と一緒に経糸に用いて織物にするには特殊な技術が必要です。この工程は、100年以上の歴史を重ねた細川機業の自社工場で行っています。
8シューズ向け和紙布(和紙面の拡大写真)
ORIGAMIXのシューズ向け和紙布は、特殊な二重織り構造。太い和紙糸が表へ浮き上がり、細いポリエステルが裏へ回り込むように設計されているため、和紙の機能性を素足でダイレクトに感じることができる、ハイブリッドな織物なのです。この織物の製法は、和紙繊維の研究開発で世界をリードする、ITOI生活文化研究所の特許に基づいています。
9シューズ向け和紙布(和紙/PE面の拡大写真)
補強用に少量使用している細いポリエステルの糸は裏へ回り込み、和紙糸をしっかりホールドすることで、摩耗強度アップに貢献しています。
10製造者について
ORIGAMIXは、1891年に創業した富山の織物工場、細川機業のファクトリーブランドです。
和紙布スリッポンは、和紙布の可能性を最大限に活かして製品化するプロジェクトの第一弾。これからも、私たちは和紙布の可能性を追究していきます。